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しばらく声を上げて泣き続けたら、だんだんと落ち着いてきた。
スン、と鼻を鳴らして目の前を見ると、そこには私の涙でぐっしょりと濡れた肩が。
「ご、ごめんなさいっ!私ったら」
慌てて両手をついて瀧沢さんから離れようとした。
けれど彼は逆に腕に力を入れるから、わたしはべったりと頬を彼の胸に付けることになる。
「た、た、瀧沢さ…ん」
焦る私に、彼は何も言わない。
どうしたら良いか分からなくて、そのまま彼の胸にくっついているしかない。
耳元から、すこし早めの心臓の音が聞こえる。
思いっきり泣いて少し気怠い体に、そのリズムと温かさが心地良い。
腫れぼったい瞳をそっと閉じた。
どれくらいそうしていたんだろう。
瀧沢さんの腕が少し緩んで、頭のてっぺんに柔らかくて温かい何かが触れた。
なんだろう、と閉じた目を開いて顔をあげると、瀧沢さんと目が合う。
その瞳が揺れていた。
それは、困ったような、弱り切ったような、でも照れくさそうな、そんな顔で。
「ああ、俺は……君のこと守りたくて仕方ないみたいだ……」
そう言って私の額に、そっとその唇を押し当てた。
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