6. 自分で頑張るって決めたから……

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 「な、な、な…なにをっ…」  びっくりするくらい柔らかい何かが、瀧沢さんの唇だと理解するまでに時間がかかった。  分かった瞬間、体中の血液が沸騰したかと思うくらい熱くなった。  自分のおでこに手を当ててみたけど、彼の唇の感触が全然消えなくて、頭が爆発しそう。  「ごめんね?」    小首を傾げて謝られても!  一瞬で体を血が巡ったせいなのか、頭がクラクラとして体に力が入らない。  くったりとして再び瀧沢さんの胸に顔をつけることになってしまった。  「大丈夫?あ、お腹すいたかな?もう三時近いからなぁ」  呑気そうにそう言った彼の台詞に、遠くなりかけた意識が戻ってくる。  「え?今なんて?」  「ん?お腹すいてないかな、って」  「今、なんじ…でしょうか」  「今?今は二時半過ぎ、だよ」  「う、うそ~~~~~~!!!」  大絶叫が部屋に響いた。  私はなんと三時間近くも眠っていたのだ。  「す、すみません!!すぐにお昼ご飯を準備します!!」  慌てて彼の腕の中から抜け出て、ベッドから立ち上がろうとした私を、瀧沢さんはそっと制した。  「お昼の準備はいいから」  「あっ、もうこんな時間だから召し上がりましたよね…すみません、私全然お役に立ててなくて……」  しょんぼりと肩を下げた。    すると瀧沢さんは私の肩に手を置いて、覗き込むようにして視線を合わせながら口を開いた。
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