6. 自分で頑張るって決めたから……

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 彼は満足そうにニッコリと微笑んだ後、私の手を解放した。  ホッと安堵の息を吐いて起き上がろうとしたその時、私を離したばかりの大きな手が、私の頬に添えられた。  「え?」と思って顔を上げると、さっきまでは楽しそうに笑っていた彼が、キリッとした眉を少し下げて心配そうに私を見下ろしている。  彼は私の頬に添えた手で、私の目元を拭った。  「目、赤くなってる。冷やさないとね」  彼の瞳に映る自分を見つめながら、私は声が出せなかった。  優しい声に、甘さを含んだその声色に、どうしようもなく心が揺さぶられる。  胸がきゅうっと締め付けられて、涙があふれてきそうになるから、それをこぼさないように必死にまばたきをこらえる。  「……杏奈」  ゆっくりと近付いてくるその瞳から、目を逸らすことが出来ない。  耐え切れずキュッと目を閉じた瞬間、ポロリとこぼれそうになった滴を、彼の唇がそっとすくい取った。  その時「ピンポーン」と呼び鈴がリビングの方から聞こえた。
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