6. 自分で頑張るって決めたから……

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 弾かれたように私が体を離すと、修平さんは少し名残惜しそうにしながら  「ピザ、来たみたいだね。出てくるよ」  と、松葉杖を取ろうとするので、  「わ、私が行きます!」  と慌てて彼の横をすり抜ける。  部屋を出る時、後ろから「杏奈」と呼ばれた。  「は、はい…」  立ち止まって返事はしたけれど、彼の方を向くことが出来ないでいる。  「もうひとつの約束もよろしくね」  「わ、分かりまし、……分かった」  そのまま廊下へ駈け出した。  逃げるように玄関まで走って来て、宅配の人からピザを受け取った瞬間  「あ!お財布!!」  肝心なものを持たずに来たことを思い出して、取りに戻ろうと踵を返そうとしたその時、  肩越しにスッと腕が延びた。その手の先には一枚の黒いカードが挟まれている。  「これでお願いします」  配達の人にそう言ってカードを渡す修平さんの声が私の頭の上からした。  さっきの余韻もあって、また心臓が落ち着かなくなる。  私はピザの箱を落とさないように、箱を持っている手に力を込めた。  「ダイニングテーブルに運んでもらえる?」  そう言って、彼は松葉杖を突きながらゆっくりと奥へ戻って行った。    
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