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「ならヨシ。そうそう、今回の新刊。本当に面白くて時間を忘れて一気に読み切ったよ。そのせいでお昼ご飯を忘れたってわけ」
あははと声を上げて、修平さんが無邪気に笑う。
「実は私も仕事後に読み初めて、読み終わったら真夜中でびっくりしたの。次の日は早番だって気付いてやばいっ!ってなっちゃった……」
「分かる分かる。脇目も振らずに読んじゃう面白さだったよな!」
それからは二人で『橘ゆかり』の本について盛り上がった。
私と修平さんの読書の趣味は似ていて、他の作者の本でも「面白い」と言ったものが被ったりしていて、とにかく話は尽きなかった。
話していて分かったのだけど、修平さんはかなりの『橘ゆかり』ファンだ。
彼女の著書はほとんど持っているし、ドラマ化も見逃さず、映画化されると必ず映画館に足を運んでいるらしい。
「今度このシリーズが映画化するよね。ほんと楽しみだ」
「うん、私もすごく待ち遠しいんだ。役者さんたちも演技派な方ばっかりだし、演出もすごいみたい」
「杏奈、よく知ってるね。俺はまだテレビの番宣とか見たことないけど」
「え、あ、う、うん。ネットでね、そう書いてあったの」
「そっかぁ。じゃあ、公開されたら一緒に観に行く?」
「いいの?私とで……」
「もちろん。ファン同士で観に行くなんて初めてだから楽しみだな」
修平さんのキラキラした笑顔が年上に見えなくて、私も自然と笑顔になる。
「うん、私も楽しみ」
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