6. 自分で頑張るって決めたから……

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 部屋の入口に置きっぱなしにしておいた鞄の中に手を入れて、それをそっと取り出す。  強く掴むとボロボロになってしまいそうで、両手でそっと掬い上げるように持ち上げた。  そのまま高坏を運ぶように恭しく『宝物』をリビングまで運んだ。  「これなの」  まだテラスの窓に座ったままの修平さんに、私は『宝物』をそっと見せた。  「これは……手作りの絵本?」  「うん」  私の両掌の上に乗っかったそれは、しっとりと濡れて表紙の絵とタイトルが滲んでぼやけている。  机の引き出しの中に仕舞っておいたのが幸いして、焼かれることはなかったけれど、こうもびしょ濡れになってしまっては、ページを開くのも困難だ。無理に開いて破れたらどうしよう…と思うと手をつけることも出来ない。  「この絵本は私の五歳の誕生日に母が作ってくれたものなの」  「お母さんが?」  「そう。うちの母は私が物心つく頃からすごく忙しく働いてて、私はあんまり構ってもらえなかったの。私はよく覚えてないんだけど、四歳くらいのころの私はちょっとしたことで良く泣いて、いつもグズグズしてたみたい。そんな私に忙しい母が作ってくれたのがこの絵本なんだ」  修平さんに私の『宝物』の話をしているうちに、幼い頃の自分を思い出してくる。  
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