6. 自分で頑張るって決めたから……

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 『杏奈、お誕生日おめでとう』  『ありがとう、ママ!』  『杏奈にプレゼントよ。世界に一つだけの杏奈の絵本』  『うわ~~~!!ママがつくったの?』  『ええ。杏奈のことを想って一生懸命描いたのよ?大事にしてね』  『うん!ママ、ありがとう!』  母に手渡された包みを開けると、綺麗に閉じられた一冊の本があった。  その絵本は今まで見たどんな本よりもキラキラと輝いて見えた。  『ねえ、なんてよむの?』  両手で持った本を母に差し出す。    『これは「宝物をみつけに」っていうのよ』  『たからものをみつけに…?』  『そう。早速一緒に読んでみる?杏奈』  『うん、ママ!』  「この絵本を読めるようになってから、私はあんまり泣いて母を困らせることもなくなったらしいの。流石に大きくなってからは読むことも少なくなったんだけど、落ち込んだ時とか、自分を励ましたい時に読むと元気になれるんだ」  「素敵なお母さんだね」  「うん……ありがとう。今でも世界中のどんな本よりもこの本が一番大好きなの。でも……」  両掌にある絵本に目を落とすと、無残な姿にやっぱり胸が痛む。  修平さんの腕の中で沢山泣いたから、今は自分の中で事実を受け入れることが出来ていると思う。  でも「悲しい」と思うことを止められない。  「もし杏奈さえ良ければ、その本を俺に預けてもらえないかな?」  「修平さんに?」  「うん。絶対になんとかする、とは言えないんだけど……」  私が頷くと、彼は私が差し出した絵本をそうっと大事そうに受け取った。
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