7. 二人と一匹暮らし、始めました。

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 修平さんは私が頷いたことに、満足そうに笑ってから私から離れた。  私は少し早くなった心臓に手を当てて、改めて「心配かけてごめんなさい」と彼に謝る。  そんな私を優しく見つめながら、彼は「何もなくてホントに良かった」と微笑んでくれた。  遊歩道を松葉杖でゆっくりと進む修平さんの隣を、アンジュのリードを持ってトコトコと着いていく。しばらく進むと、河川敷の駐車場に一台の黒い車が停めてあるのが見えた。  「あれ、って…」  「ああ、俺の車。杏奈が出て行ってから車で探しに出たんだ。ちょうど図書館に置きっぱなしにしてあった車を、同僚に持ってきてもらったからね」  「運転して大丈夫なの?」  「捻挫は左足だからね。あれは左足を使わないやつだから問題ないよ」  「そうなんだ……」  話しながら車の所まで着くと、修平さんはロックを解除してハッチバックを開けた。そして私が持っていたアンジュのリードを受け取って後ろに回りアンジュに乗るように促すと、彼女は慣れた様子でラゲッジスペースへと飛び乗った。  それから私たちも車に乗り込んだ。  
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