7. 二人と一匹暮らし、始めました。

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[3]  次の日は月曜日。  私はもともとのシフトでお休みだ。修平さんは怪我をしてから初めての出勤だった。  市内にある職場までは車で十五分足らずと言っていたけど、私は心配で何度も「気を付けてね」と言いながら彼の後を着いて車まで見送った。修平さんは、そんな私を安心させるように「ありがと。大丈夫だよ」と微笑みながら頭を撫でて、車にゆっくりと乗り込んで出勤して行った。  修平さんを見送ると、朝食の後片付けをしてからお洗濯だ。  彼の家に居候するようになって初めての洗濯なので、随分と溜まっている。アパートから持って来た濡れた衣類もあった為、結構な洗濯量になってしまっていた。  「今日はいいお天気♪洗濯が良く乾きます、っと♪」  鼻歌交じりに次々と洗濯物を取り出していく。  この家の洗濯機は最新のドラム式。スタイリッシュなそのデザインは、お洒落なパウダールームの景観を損なっていない。  手に持った洗濯物を、パンパンと勢いよく振り捌いたその瞬間、  「ぎゃ~~~っ!!」  私が手に持っていたのは修平さんのボクサータイプの下着。思わずそれを放り投げてしまった。    だって父親以外の下着なんて触ったことないんだもん…!  絶叫を上げたわたしは、一人真っ赤になってパウダールームで石膏像のように固まった。  ああ、そっか…だから修平さんは「洗濯は杏奈の分だけでいいよ」って言ってくれたんだ……。  放り投げられてドアの近くまで飛んでしまった下着を、目視することすらできない。心臓がバクバクして、背中を汗が流れる。  ど、どうしよう!?放置しとくなんて出来ないし、干すにしても戻すにしてもアレを拾わなきゃ……。  そう考えてたらさっきまで赤かった顔が、今度はみるみる青くなった。    「どうしよう~~~!」  半泣きになりながら叫んだ。  すると───。  「なにかお困りですか?」  ドアの横から腕が現れて、落ちた下着をヒョイっと掴んだ。
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