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「随分と佐倉さんと打ち解けたんだね」
「うん!!」
「それは良かったよ。他にはどんな話をしたの?」
「私の淹れたコーヒーを褒めてもらったの!それでその淹れ方をどこで習ったのか、て話になって」
「ああ、杏奈のコーヒーはすごく美味しいよね。俺も最初に入れて貰った時は驚いたよ。どうしてあんなに上手にコーヒーを淹れられるのか、ずっと気になってたんだ」
「私の父は実家の家の近くで喫茶店をやってるの。小さなお店なんだけど、近所の常連さんのお陰で細々とやってて」
「へえ~、そうなんだ」
「それで私は小さい頃から父の喫茶店には毎日のように顔を出してて、小学校の時なんかは、宿題はいつもお店のカウンターだったなあ。父が忙しい時は常連さんが勉強を見てくれたりして」
「ランドセルを背負った杏奈かぁ…すっごく可愛かったろうなぁ。見てみたかった」
「そ、そんなことなかったよ……。結構お転婆でよく膝とかすりむいてたし」
修平さんが目をキラキラさせながら、甘い台詞を挟んでくるので、私は慌てて話を元に戻した。
「中学生になってからは友人と遊んだり勉強とかで忙しくなったから、父の店に行く機会は減ったんだけど、それでも休みの日には、お店の手伝いに入ったりしてたの。高校生になってから正式にアルバイトとして雇ってもらってからは、父が少しずつコーヒーや紅茶の入れ方を教えてくれたりして。大学生の頃には、お店のフードメニューはひと通り作れるようになってたの」
子どもの頃のことを話すのは何となく照れくさくて、「あはは」と笑う。
「そっか、だから杏奈が淹れてくれるコーヒーや作ってくれる洋食がすごく美味しいんだな」
「そうかな?」
「そうだよ。昨日のナポリタンも喫茶店のやつみたいで美味しいなと思ってたんだ。食後に淹れてくれるコーヒーもね」
「それは良かった…デス」
ニコニコと上機嫌な顔で褒め倒されて、かえって居た堪れなくなる。顔が赤くなりかけて慌てて俯いた。
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