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今からおよそ二千年前、春秋戦国という時代の真っ只中であった中国で、一人の少年が名を馳せた。
その名は嬴政――秦王政の六代目大王として即位した彼は、東アジア初の称号「皇帝」を名乗った。――これが、後に始皇帝と呼称される所以である。
そしてその性格は、一度彼に逆らえば、功績を持つ重臣であっても惨殺されたという、残虐非道の権化。
しかし一方で、中国の初の天下統一を成し遂げた鬼才でもある。
では、そんな彼をここまで支え導いた一人の家臣がいたことをご存知だろうか。
実は、天下統一という偉業を図ったのは始皇帝本人ではなく、その家臣であったというが、果たして誰が信じるだろう。おそらく誰も信じ得ないはずだ。
何故なら、彼自身がその事実を抹消し、無きものとしてしまったからである。――全ては始皇帝という人物の名誉を守るために。
これから表すのは、そんな名も無き一人の家臣の物語である。
烈火の如く赤い髪だったことから、彼は後に「朱雀」と讃えられることとなるが、それはまだ先の話だ。
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