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オレディエーラ危機編
その事件が起きたのは、某年、夏のこと。諜報機関オレディエーラを創設した幹部3人が、旅行に出発することを計画していたその日のことだった。
「なんだ……このメモは?」
なかなか姿を現さないユールガを呼び出すため、オウヴァは彼の部屋を訪れたところ、もぬけの殻の部屋に謎のメモが残されていた。
メモには、こう書いてあった。
鍵達よ、来たれ
7D4C *cc5e3b
7DEF *3215a6b
「鍵」というワード、ユールガが居ない部屋にメモ、暗号、呼び出しのような文言。嫌な予感がオウヴァの内を駆け巡ると、遠くから声が聞こえた。
慌ただしい、女声。女声が聞こえるのは、ここでは大抵、「彼女」の声が聞こえる時である。
「あっオウヴァ! いいところに! ユールガが見当たらないの! 何か知らない?」
やはり、ハイリンゼルであった。誰でも尊重する彼女のことだから、きっと自分でこのメモを見つけたら愕然としていただろう。そう思いながら、オウヴァはメモを見せた。
「このメモと、この事実から察することによれば、おそらくは誘拐されたと見ていい。暗号そのものは単純に見えるが……」
「ユールガが、そんなに簡単に不覚をとる?ありえない。どうやら、暗号を解いてからが問題みたいね」
実際、暗号を解くまでにはほとんど労力はかからなかった。導き出されたのは、座標。だが、その座標のせいで、更に謎が深まった。
「これ……私達が行こうとしてた旅行先にかなり近くない?」
「ああ。昨夜まで居たユールガがこんな遠くにもう既に居ることも驚きだが、妙なこともあるんだな」
様々な疑問が二人の心を掴んで離さないが、とにかく向かってみることにした。
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