ユールガと魔女編

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ユールガと魔女編

 ユールガが目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。木造家屋で、木の質感を内装にも最大限残している家でありながら、インテリアはかなりメカニカル。ユールガが見たことのない計算機や実験設備もある。 「ここは……?」 「お目覚めですか?」  すぐ隣からいきなり声をかけてきたのは、焦茶色の髪をした長身の女性。いや、長身とその体型以外を、特に顔を見れば、それは少女と言うべきものだ。 「誰だ? ここはどこだ? 何をするつもりだ?」 「完璧な質問ですね。私はアプフェルドルン。またの名を、魔女マルギテス。ここは私の家です。あなた方の持つ『鍵』のサンプルを取るために、ちょっと誘拐しちゃいました」  ユールガは呆然とした。ここまで堂々と犯行を述べられる度胸が信じられない。彼の中では、堂々と犯罪を実行するくらいの度胸はある。自分でも度胸はかなりあるつもりだ。  しかしそれを上回られると、驚きを通り越して軽いパニックになる。  状況を理解するのに、数秒かかった。 「鍵……まさか、盗ったのか!? 何をして……」 「あ、そうですね。これですね。見るだけ見たんで返します。結局足しにならなかったし」 「は?」  駄目だ、こいつのペースにはついて行けない。しばらく放置して、頃合いを見て話をしよう。  寝起きでかつ混乱していても、なぜかユールガはここまで頭を回せた。 「けっこう期待してたんですけどねー。アイテムとしての意味が分かって興ざめっていうか。だからあなたを誘拐した意味、無くなっちゃいました! しょうがないので雑談しませんか?私、色々と話せることがたくさん……」 「マイペースもいい加減にしろ……」  遂にユールガの頭が回らなくなった。
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