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運命を分けたもの
高将さんひとりはいやだ。お願いだから一緒に寝て。コウタは一晩中俺の体にしがみついて片時も離れようとはしなかった。
コウタがこんな風に甘えてくるなんて初めてのことで。手の置き場と目のやり場に正直困った。
一緒に暮らすうち、コウタへ対する気持ちが少しずつだけど確実に変わっていった。
変な奴だ。他人のことなんかついぞ気にもしなかったのに。
コウタのことになるとどうも気になる。
無意識に手を伸ばし、額にかかったコウタの前髪をかき上げた。
さらさらした髪は触り心地がよくて、なかなか手を離すことが出来なかった。
コウタ……。
自分がどれほどこの少年に惹かれているか。
もう認めざるを得ない。
自分がコウタに抱いている気持ちは、間違いなく恋愛感情だ。
無防備な唇に引き寄せられるように顔を近付けた。なめらかな頰、柔らかそうな唇。指でなぞると、全身が心臓になってしまったかのように鼓動が大きくなるのを感じた。
このまま少女が見付からなければいい。
そうすればコウタを独り占め出来る。
でももし見付かった時は?そのときは力ずくで自分のモノにして家に閉じ込めればいい。
まずはコウタを懐柔し手懐けないと。
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