運命を分けたもの

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もらえる都路、もらえない都路。 賠償金をもらえる町民は土地を除染関係の資材置場として貸して町の外で暮らし、もらえない町民は、見えない放射能に怯えながら都路で生活をせざるを得ない。近所同士、長年に渡って培ってきた絆も何もかもすべて分断された。 いわき市でも避難民は賠償金がもらえるが、津波被害者はもらえない。避難先の福島市、郡山市、会津若松市などでもそれは同じだった。毎食外食を自慢する避難民の子ども。ある中学校の修学旅行で出掛けた東京ディズニーランドで10万をあっという間にぱぁ~~と散財した女子生徒。子ども同士のイジメも深刻だった。 貧富の格差がどんどん広がり、市民は不平不満を募らせていった。 南相馬市でも同じようなことが起こっていた。市職員でもあり避難民である俺はそんな声を耳にするたびこれでいいのかと次第に葛藤するようになった。
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