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二週間前の二月二十四日。
犯罪とは無縁のこの町で16歳の少女が神隠しにでもあったように忽然と消えた。
いなくなる直前まで一緒にいたコウタに疑いの目が向けられた。
コウタは通信制のK高等学校に通学している。東京にいた時は部屋に一日中引きこもっていた。
本人の意向で二月七日に住民票を南相馬市に移すと、コンビニエンスストアでアルバイトをはじめたから正直驚いた。
コウタがその少女を家に連れくるようになったのはアルバイトをはじめてわずか一週間後。夜十時過ぎにこそこそと一緒に帰ってきて朝まで一緒にいるようになった。
「仕事に行ってくる。頼むから火だけは気を付けてくれよ」
中からしっかり鍵がかかった部屋でふたりがなにをしているか容易に予想出来た。
「コウタ……」
ドアをノックしようとして、そのときモヤモヤとした感情をはじめて感じた。
それは間違いなくコウタに愛される少女に対する嫉妬、憎悪。嫌悪感。
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