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自分の傷だらけの両手を見つめてみる。
数日前に十九歳の誕生日を迎えた。来年はいよいよ行き遅れのレッテルを貼られる二十歳になる。
小さい頃の夢は、大好きな人と結婚する事。
平凡だけれど、この小さな田舎の村でつつましくも幸せな家庭を築くことが、何よりの幸せだと思っていた。
セリーナの両親のように、優しい夫と仲睦まじい夫婦になることが。
(——私は何にもなれなかった)
この見た目の惨めさでは、誰かのお嫁さんになることなど叶わないだろう。
*
夕方、その日の畑仕事を終えて家に入ると、 戸口に娘の姿を見つけた母親が炊事の手を止めた。
「ねぇセリーナ、聞いて。宮廷からね、おふれが来たのですって。今年も使用人の公募が始まったそうよ!」
毎年この時期になると母イリスがソワソワし始める。そしてセリーナは苦悩する、どうやってこの母親の気持ちをなだめようかと。
「あなたはずっと帝都に憧れてきたでしょう?今年は思い切って、出願してみない?」
——お母さんは、毎年同じことの繰り返し。
私なんか……。『ガイム』の私なんかが、採用されるはずがないじゃない。
せめてお母さんみたいに美しく生まれていたら、この人生だって違っていたかもしれないのに。
美しい両親、美貌に恵まれた弟。
——なのになぜ、私だけが、こんな……。
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