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自分でも大嫌いな、この陰鬱で卑屈な想いにかられてしまう。 全力で払拭し、母親にはいつものように精一杯の笑顔で応じた。 「あれからまた一年が経ったなんて、早いものねっっ」 母親に暗い顔は見せたくない、絶対に見せられない。ただでさえ母は、私の惨めな容姿を気に病み、腫物に触るように扱うのだから。 ——笑わなければ。 いつも笑顔でいなければ……いつも、どんな時でも。 ほんとうの気持ちを、人に悟られないように。 「ほら、またそうやって笑ってはぐらかす。一度真剣に考えてみて?ねっ。それから……」 イリスは机の上に乗っていた白い封筒を取り、セリーナに手渡した。 「今日、アベルが持って来たのよ。あなたに読んで欲しいって」 ——あのアベルが、私に何の用だろう? 心の底から(いぶか)しんだ。 村で一番の美丈夫からの手紙だなんて、想定外過ぎて耳を疑ってしまう! 夕食のあと部屋にこもり、恐る恐る手紙を開けてみる。手紙の内容が気になって、せっかくの食事がほとんど喉を通らなかった。   『君にずっと伝えたかった事がある。水曜日の午後三時、役場裏の薔薇庭園に来て欲しい』 真っ白な便箋に丁寧に書かれた文字。 しかし一体、どういう心づもりだろう?
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