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***
――後日。
「好きです」
いったいこれはどういう展開なのだろう。頭の中が混乱しっぱなしだ。
山田の想い人であるはずの溝口が、俺に告白をしてきた。どう答えたらいいのか分からない。溝口単体で考えれば、やっぱりいい子そうには見えるし、付き合ってもいいかも、なんて、安い俺は思ってしまうが、どうしても、山田の顔がちらつく。ここでOKしたことによって、彼との関係がぎくしゃくしてしまうのは、俺的には、結構つらい。
――結局、考えさせてください、と保留にして、その日は終わった。
***
翌日の昼休み。俺と山田以外教室にいないことを確認すると、俺は切り出した。
「あのさ」
「うん」
「俺、溝口に告られたんだけど」
山田は、うん、とこれまたびっくりするぐらい真剣な表情で頷いた。授業中ですら、教師の目をかいくぐってゲームに没頭するようなヤツが。
「付き合うの?」と、山田が聞いてくる。
「いや……どうしよっかなって」
「え」
と、山田がぎょっと目を丸くした。なぜそんな顔をするのだ。
「いやだって、お前、溝口のこと――」
俺の台詞を遮るように、チャイムが鳴った。くそ、タイムアップか。俺はカレーパンのゴミを片手でまとめて、ゴミ箱へと放った。
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