溝口、山田、ときどき俺。

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
***  ――後日。 「好きです」  いったいこれはどういう展開なのだろう。頭の中が混乱しっぱなしだ。  山田の想い人であるはずの溝口が、俺に告白をしてきた。どう答えたらいいのか分からない。溝口単体で考えれば、やっぱりいい子そうには見えるし、付き合ってもいいかも、なんて、安い俺は思ってしまうが、どうしても、山田の顔がちらつく。ここでOKしたことによって、彼との関係がぎくしゃくしてしまうのは、俺的には、結構つらい。  ――結局、考えさせてください、と保留にして、その日は終わった。 ***  翌日の昼休み。俺と山田以外教室にいないことを確認すると、俺は切り出した。 「あのさ」 「うん」 「俺、溝口に告られたんだけど」  山田は、うん、とこれまたびっくりするぐらい真剣な表情で頷いた。授業中ですら、教師の目をかいくぐってゲームに没頭するようなヤツが。 「付き合うの?」と、山田が聞いてくる。 「いや……どうしよっかなって」 「え」  と、山田がぎょっと目を丸くした。なぜそんな顔をするのだ。 「いやだって、お前、溝口のこと――」  俺の台詞を遮るように、チャイムが鳴った。くそ、タイムアップか。俺はカレーパンのゴミを片手でまとめて、ゴミ箱へと放った。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!