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―――あれから3年、
高校生になった今に至るのだけれど。
あの頃よりは、ずっと背も伸びて男の子らしくなった神木君。
今も1年生のクラスでモテモテなのかどうかは知らないけれど、見た目は相変わらず可愛い系男子として堂々たる存在感だと思う。
そして、中学校に続いて、私と同じ高校に入学した神木君は、放課後になると毎日欠かさず私の教室前で待っていて、さっきのような通りがかった部員同士の会話が繰り広げられるのだ。
八尾君に引き摺られて遠ざかって消えていった神木君の後ろ姿を見送った後、私達も音楽室を目指す途中で、隣の和音が思い出したように溜め息を零す。
『しっかし、よくやるよね。中学からのストーカー』
「ストーカーって、酷い…」
『見事なストーキングじゃない?中学の一目惚れの告白から始まり、愛音を追って同じ高校、さらには合唱部にまで入っちゃうんだから』
「うん、それはちょっとビックリした…」
中学の時はテニス部だった神木君。
小柄な体格にも関わらず、全国大会で優勝、という華々しい功績………を残したのに、高校に入学すると、どういうわけかあっさりとテニスをやめて合唱部に入部した。
『しかも、歌のセンス、ゼロよ?』
「それは言っちゃ…」
『ぜーんぶ聞こえてますよ。音痴で悪かったですね』
「わぁ…神木君!?」
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