第1番 可愛い子犬

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―――3 years ago..... 桜の花びらが舞い散り、葉桜へと変わる頃だった。 昼休みの合唱部の新入生歓迎コンサートを終え、体育館から出たところ、一人の新入生に呼び止められた。 第一印象は―――栗色の髪で、小柄な、中世的な顔立ちの大人しめの男の子。 真新しい制服に身を包み、どこかしら育ちの良さを思わせる彼。 私をじっと見つめる面持ちは、ステージから見えていた他の一年生達のようなあどけなさはなく、年齢よりも大人っぽく、落ち着いた雰囲気で。 真っ直ぐにこちらを見る、深みのある色をした瞳が、綺麗だと思った。 「あの…、何か?」 『一ノ瀬愛音さん、ですよね?』 「そうですけど…」 『僕、1年の神木夏弦です』 ………どこかで会ったっけ? 見たことある気もするな…と思い、記憶を呼び起こそうと、頭をフル回転させて考えたけれど、全く思い出せない。 誰だ、誰だ?…と、無言のままで彼を見つめていると、 『一目惚れしました。つき合ってください』 吹きぬけた風で舞い上がった花びらの中、―――華奢で小柄な見た目に似合わず、堂々と宣言された。 これが、神木君との出会いだった。
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