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先生「そこで二人は末永く仲睦まじく暮らしましたとさ。はい、この話はこれでおしまい」
生徒A「それっておかしくない?その人はこけしと結婚したの?」
先生「二人だけの結婚式は挙げたよ。法的な夫婦にはなれないけどね」
生徒A「じゃあ、仲睦まじくってわけにはいかないよね」
先生「君はやけに旧式の考え方の持ち主だな。結婚の形も幸せの形も人それぞれじゃないか。まあこの男は当時としては斬新で進歩的な考え方の持ち主で、現代から見ても相当奇妙奇天烈だけど、社会の新しい動きというのはいつも斬新で進歩的な人たちから生まれていくものなんだ」
生徒B「この人がこけしを今の形にしたの?」
先生「いや、こけしが今みたいになったのは、こけし職人の人たちがそうしたんだよ。この事件がきっかけになったと言われているけどね」
生徒C「この人がナポレオンの関係者なの?」
先生「そういうことになるね」
生徒C「なんで日本に住んでたの?」
先生「人類は血筋を遡ればみんな一人の人にたどり着く。だからこの男だってナポレオンの関係者と言える」
生徒D「結局、こけしはお母さん役をやれたの?」
先生「話を聞いていなかったのかい?今の話の流れからすれば、どう考えたってお母さん役じゃなくて花嫁役だろう」
生徒D「じゃあ、こけしは幸せにはなれなかったんだ」
先生「さあ、それはどうだろうね。花嫁役ってことは、お母さん役へのパスポートをもらったようなものだし。ほら、遠足だってそうだろう?一番楽しいのは前日にあれこれ想像しているときじゃないか。こけしは十分幸せだったんじゃないかな」
そこで授業終了のチャイムが鳴った。
やれやれ。今回も無駄話をしているだけで終わってしまった。
もっと為になる話をしたいのに、まったく、この出来の悪い奴らの受け持ちになったおかげで、まともに授業が進まない。
生徒E「ねえ先生」
先生「なんだい?まだ何かあるのかい?」
生徒E「いつも思うんだけど、先生の話って教科書の内容とずれてる気がする」
先生「君は教科書なんて読んだことないじゃないか」
生徒E「僕、教科書は読まないようにしてるんだ。だって先生の話とずれてるんだもん」
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