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大貴はインスタントのみそ汁をスクールバッグから取り出し、おわんに入れてお湯を注ぐ。「うまい」とつぶやきながら食べ終え、立ち上がって歩き出すと汗が出てきた。
「あいつの妹、彩葉はぜんそくがあって通院に40万円が必要なんだ。俺は
息子がトイレ清掃とCDショップで稼いでためた金で女性雑誌を買っていた。もう一度会ってそのことを謝り、二人のために行動したい」大貴に本心を伝え、まさよしは鳥を獲ってトマトスープの具にした。
夏と秋花、桃は赤レンガ倉庫の周りにある屋根付きの店の中で魚を焼いて食べていた。夏が用意した網の上で、こんがりと皮の中まで焼きながら
箸で小皿に取って口に入れる。
「おいしい」秋花がつぶやきながら桃の小皿にも一切れ置くが、食べようとしない。「どうしたの?食べていいんだよ」と声をかけると、「おいしい」と
にっこり笑った。
「今日はたくさん歩いたから、後で二人にマッサージするね」と言うと、
「ありがとう!」と嬉しそうに答えて魚を完食する。小皿と網の上には骨だけ
が残っていた。
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