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夏は水を温めてお湯にし、バスタオルで二人の体をふく。その時、桃の手に
挟まれた痕があるのを見た。
「桃ちゃん。手、痛くない?」と聞くと、「ママの洗濯バサミで挟まれたの」と答えた。涙が小さな目にたまっている。
夏はそっと彼女を抱きしめ、髪もふく。秋花も「痛いの痛いの、飛んでけ」
と言いながら桃にほほえみかけた。「私たちがいるよ、桃ちゃん」「うん。
今日はもう寝ましょう」夏はそう言って、二人をテントの中に入れた。
美歌と優、博人と彩葉の4人は大貴に連れられて帰って来たまさよしの姿に
驚いていた。両足に包帯を巻き、汗だくになっていたからだ。
「父さん!どうしたんだよそのけが」「ハチに刺されて出血した。彼が見つけて、助けてくれたんだ」まさよしは息を吐くと、「優、彩葉。ごめん。これからはお前たちのために動くよ」と頭を下げた。
ずっと聞きたかった父の言葉に、優はその場に座り込んで号泣し始めた。後悔や怒りが涙になって、地面に落ちる。彩葉が兄の肩に手を置きながら、落ち着くのを待っていた。
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