ダルジュロスの王子とアンダルシアの少女2

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作っているのは元ミルドラド兵の少年アレクだ。バジルや鶏肉、トマトソース を麺の上に乗せた皿をテーブルの上に置いている。ドアが開く音がしてフォイアーが店内に入って来て、アデルの隣席に座った。  「今小麦粉をパン屋に届けてきた。やっと昼食だ」「ラズは元気?」「ああ。お前と本屋に行きたいって言ってた」フォイアーはトマトパスタの皿をちらりと見て、「完食じゃねえか」と呟く。  「うん。おいしかったよ」アレクは嬉しさを感じながら、同い年の友達を 見つめていた。  食事を終えた3人が並んで歩いていると、白いワイシャツとズボン姿のヴィントがキュウリを収穫していた。塔の外には畑が作られ、市民や騎士たちが 野菜や果物を運んでいる。  「兄さん。革袋いっぱいになりそうだな。オレも持つよ」「ありがとう」 ヴィントは汗をぬぐいながら、シャツのボタンを一つはずす。それから階段を 上がり、広間のテーブルに革袋を置いてキュウリを出した。  「サラダができそうだな。今晩、チーズやトマト、コショウで作ろう」 「サンドイッチにしてもいいよね」アデルがにっこりと笑う。
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