ダルジュロスの王子とアンダルシアの少女2

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 「(この2週間、アリスに新しく作ってもらった解毒剤を保管したり、書類に名前を書いたりといったことが多くなって運動していなかったな。外に出る 時間を増やそう)」  濃い緑色の寝間着に着替え、椅子に座ってコップに入れたイチゴのジュース を飲みながら外を眺める。夏になり始めているので風も湿気(しっけ)が多い。  「(母は俺が生まれた時、こうして外を見つめながらタオルで髪をふいてくれていた。今から8年前に亡くなったが、彼女のことはよく覚えている)」  ヴィントやフォイアー、アデルに本を読み聞かせ、ペンなどの筆記用具を たくさん買って渡してくれた。彼らの勉強好きは母と同じである。 「(母さん。フォイアーがアリスと結婚したよ)」心の中でそう言って、 墓に供える花を買おうと決めたのだった。
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