ダルジュロスの王子とアンダルシアの少女2

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 「減ったなあ。私が欲しいの売れちゃった」とシャーリーがつぶやき、テーブルの上を見つめながら短編小説を手に取る。  「陛下。私、これを買いたいです」ラズベリーが描かれた硬貨を3枚出すと、ヴィントは「お前に渡す。愛読してくれ」と言って革袋に入れ、渡してくれた。それから硬貨を財布にしまって階段を上がり、自室へ向かう。  「シャーリー、フォイアー、アリス。今日はよく寝てくれ。手伝ってくれて 嬉しかったぞ」「はい」3人はヴィントに「おやすみなさい」と言ってそれぞれ風呂へと入っていった。  「たくさんの人が来てたね」ハチミツのせっけんで髪を洗いながらアリスが 言うと、シャーリーも「うん。絵本がよく売れてた。子供たちも楽しそうだったよ」と答えた。泡を洗い流して浴槽に入り、ほっとため息をつく。  二人の長い足と大きな胸が、湯気で隠れている。アリスは足を伸ばすと、 シャーリーに「私、小さいときは二人の姉さんたちとお風呂入ってたんだ。 ここみたいに広くなかったけど、毎日たくさん遊んでた」と思い出を話し始めた。  
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