0人が本棚に入れています
本棚に追加
「父さんもいろいろな花で石けんや栞を作って売ってた。弟のアンドリューおじさんもたまに来てくれて、一緒に服を買ってくれた」涙が出てきて、アリスはお湯で目元を洗う。
シャーリーが「あなたの髪、結んでいい?」と聞いてきた。「うん」と答え、深呼吸をして鏡を見つめる。フォイアーが見たら何と言うだろうと考え、思わず顔が赤くなった。
頭の上で丸い形になった茶色い髪から、ハチミツの石けんの香りが湯気と
一緒に流れている。花の茎から作られた緑色のヘアゴムには、塔の外でも増え続けているキンモクセイの花びらがついていた。「ありがとう」と言うと、
「素敵だよ」と笑みを返された。
「アリス、起きてるか?」と言ってフォイアーが彼女の部屋に入って来た。
彼は「髪、結んだんだな」とつぶやきながら隣のベッドに入り、彼女を抱きしめる。
心拍数が上がるのを感じながら「シャーリーがやってくれたの」と答えると、彼はにっこりと笑って「いい友達だな」とつぶやいた。
最初のコメントを投稿しよう!