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「よーし休憩終わり、俺たちも行くぞ」
ベンチから立ち上がり、まだ探していない区域を確認させそこへ向かおうとオルロたちが歩きだした時だった。
嫌に大きな音で歩く集団が近づいてくる、静かな郊外の公園の心地よい静寂を壊すような無粋な足音だった。
「こんな所で若手と仲良くお喋りとは、余裕だなオルロ」
声をかけてきたのは、乱れた短いマットグリーンの髪をした筋肉質の男だった。迷彩柄のパンツに黒のタンクトップ、顔には下卑た笑顔を浮かべ背には男の粗暴さを表すようなアサルトライフルを背負っている。
「……華の無いパレードだな」
一瞬だけ視線を向け、これ以上は見たくも無いと言わんばかりにオルロは目を背ける。彼の目の前にいる十人ほどの男たち、彼らこそがオルロたちの対抗馬であるローグファミリーであり、集団の先頭を歩く粗暴な男こそファミリーのトップ、ローグだった。
「お前らこそ、こんな所で俺たちに絡んでる暇があるのか?」
「てめえらと違ってこっちは人手が多いからな、寂しい人数で仲良しごっこしてるてめえらにも絡めるんだよ」
馬鹿な男だと、オルロは笑顔を作らずに笑う。確かにローグファミリーの構成員の数は百人ほど、五十人しかいないリリアックと比べれば人数は多い。
だがこの街には、構成員の数が数百から千人以上の組織が掃いて捨てるほどいる。
そんな中では五十人も百人も大して変わらない、だがそれに気付くような利口な頭をローグは持ち合わせてはいなかった。
ローグの見かけに伴わない器の小ささに、オルロは心底うんざりしていた。
ふと彼の目にローグたちの持つ銃が映る、それは最新式の高価な銃だった。
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