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「母さん手伝いロボット、かぁ~」
中学校からの帰り道、僕の隣を歩いている林君がため息を吐く。
妙に落ち込んでいる林君に、僕はぶっきらぼうに言う。
「手伝いロボットって、誰かの役に立てばいいだけだろう。だいたい、なんでこんな課題を出すんだ。難しすぎて、夏休み全部潰れてしまいそうだよ」
林君は何も言わずに、ずっと地面ばかりを見ている。
アイデアが浮かばないのだろうか?
僕だったら、適当に作って、ロボットのことより夏休みのことを優先するな。
気が付くと、林君は今日配られた課題一覧表を見ていた。
課題一覧表の一番下に、ぶっといゴシック体で、こう書かれている。
___________________________________
【夏休み特別課題!!】
普段、お世話になっているお母さんに感謝を込め、手伝いロボットを
作ろう!! 期日:8月1日、夏休み明け初日
※夏休み明け最初の授業参観日で、自分の作ったロボットを紹介して
もらいます!!
___________________________________
!マークが異常についていてイラっとくる。
相変わらず、林君はうかない顔をして、課題一覧表をじっと見つめている。
林君はこの課題が嫌なのだろう。
こんなの誰もが嫌だけど、林君は何か嫌な理由があるのだろうと思った。
面倒くさいとか、難しそうだから嫌だ、とかじゃなくてもっと別の理由が。
滅多に質問しない林君は、今日は珍しく先生に質問していた。
「ロボットって、必ず作らないと、だめですか?」
「はぁ?!作らないとだめに決まってるじゃないか!!お前が今こうして生きていられるのも、お前の母さんや父さんのおかげなんだぞ!親に感謝の意を示さないでどうする!!」
滅多に怒らない先生も、今日は珍しく鬼のように怒った。
もしかしたら、林君は今日のことを引きずっているのかもしれない。
先生を怒らせてしまったのだから、先生が求めている以上のロボットを作らなくては、と思っているのかもしれない。
林君は真面目で、僕とは考え方が違う。
僕は、林君が期限までにロボットを作ってこられるか、心配した。
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