ぐるり、転

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さっきまでの威勢はどこへやら。形勢が逆転されてしまい、〝ミク〟を名乗る同居人は怯えたように俺を見つめていた。 「蜜ちゃん」   俺も彼女をじっと見つめ返したまま、ずっと前から呼んでみたかった音を空気に乗せる。 それから、嘘つきなくちびるを封じ込めるように、ひとつのキスを落とした。 はじめて、彼女の温度を知った気がする。
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