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 目が覚めると、見慣れぬ天井が目に入った。 「ここは……?」  声にならないようなか細い声が出て、自分でも驚いた。だが、私の目に飛び込んできた人物は、私以上に驚いた顔をしていた。 「エリ!」  その人は、信じられないもを見たような顔をして私の顔を覗き込み、目を細めるとそのまま私の髪をひと撫でする。 「エリって、私……?」  聞き馴染みのないその名前を、私は繰り返す。 「おい、嘘だろ……エリ……」  彼はまたその名前を繰り返した。そして、そのまま頭を抱えてしまう。 「俺は? 俺のことは、分かるか?」  私は、彼を知らない。けれど、なんだかとても愛しい人のような気がする。 「ごめんなさい……私……」  声にならないような声を出したのに、彼はそのまま私の頬を撫でた。知らない人に触られているのに、不思議と嫌ではない。 「無理すんな。ここは病院だ。お医者さん呼んでくる」  その人はそのまま力なくよろよろと病室を出て行った。
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