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次の日、私はヒカルさんと街へ出かけていた。
「明日、デートしない?」
彼からそう言われたのは、昨晩の夕飯の席のこと。
「俺とエリは恋人だったろ? だから、恋人らしいことをすれば少しでも何か思い出せるんじゃないかって」
ヒカルさんはそう言って、私の様子を伺う。
「といっても、エリに触れたり傷つけるようなことはしたくないし、だからデートくらいがいいんじゃないかって。明日はちょうど休日だろ?」
ヒカルさんは微笑んだ。
「ありがとうございます」
こんなに優しい人が、誘拐犯なはずはない……。私は自分にそう言い聞かせて、頬の筋肉を吊り上げた。
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