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「よく眠れた?」  翌日、リビングで目を覚ました私の顔を、ヒカルさんは覗き込む。 「はい、おかげさまで」  昨夜、彼は私に気を遣ってリビングに来客用の布団を敷いてくれた。その布団が妙に自分の体にしっくり馴染んだのは、多分病院のベッドが固かったせいだ。 「朝ごはん、作りますね」  私は体を起こした。何もせずにここに居るのも申し訳なくて、家事くらい手伝おうと思ったのだ。 「じゃあ、お願いしようかな」  ヒカルさんは嬉しそうにダイニングテーブルの上のコーヒーメーカーを起動させた。私がキッチンへ向かうと、そこにはピンク色のエプロンが置いてある。 「ヒカルさん、これ私のですか?」  ヒカルさんは抽出されるコーヒーをじっと見ていたが、私の声に顔をあげた。 「うん、そうだよ」 「冷蔵庫の中のもの、適当に使っちゃいますね」  私はエプロンをして、料理を開始した。
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