出口

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出口

前だけをみている。嫌いな人間がいる。無視する奴。人は関わりの中で生きるモノだ。それをしようとせず、自分の妄想に囚われて生きて病んでいく人間が嫌いだ。僕は自惚れてなんかいない。自分が如何に優れた人間であるかを他人が評価してくれたとしても、それはその人が元々優れていた人物だから、僕が優れているんじゃない。僕は自分はモテる方だと勘違いしていたが、現実の僕は、周りの人間になど何の価値を見出せていない。嫌な面が鼻について、陰口ばかり、家でほざいている。嫌われる人間ってのは、多くの場合、自分で自分の非を認めない傾向にある。自分が嫌われているか、よりも自分がムカつく、許せない気持ちの方が強い。自分が他者を傷つけている、罪の意識もない、人間達だ。言わない僕も悪いけど、嫌いな人間には嫌いだと本人には伝えられない。それは悪い事だからだ。怖いからだ。僕は昔は、怖いモノ知らずだった。今は怖いものが沢山ある。だが、本来嫌いな奴はそもそも、僕のことなんか眼中にもない。他人ってのは所詮はその程度のものなんだ。僕は孤独が好きだ。一人になって、物語を描いている時が一番充実していた。思索に耽る日々が、僕にエネルギーをくれた。負けない強さを与えてくれた。意味のある事だった。世間や世俗の問題なんか、どうでも良く、自分の内面に抱える葛藤に答えを出して生きていく。僕は孤独が好きだ。そして、自分の問題に向き合い、他者との接点を探る思索が好きだ。好かれたくてしている事だ。嫌いではなく、寧ろ、心に何かしろ感情が生まれるのは、それだけ、何か魅力があるからだ。他者に自分の内面と似通う部分、無意識化の共時性を僕は繋がっているのだと思う。個人の問題が社会の問題と重なり、面白いと思う時がある。自分の問題が、あ、それ私も思ってた!僕ら、似ているね?と共感し、孤独ではないと温かみを感じ、人を信じられる人になれるんだ。僕は社会に属し、存在する歯車の一つだ。世界と繋がれる機会に、喜びを感じているんだ。
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