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「んっ?」
無機質な目覚まし時計の音で目が覚めた。
太陽の光が眩しい。今日も良い天気だな。
身支度を済ませてから朝ご飯を食べる。今日のメニューはご飯に納豆に鮭とお味噌汁だ。
これぞ日本人って感じ。
「お母さん、行ってきます!」
「あれっ? 今日は自転車で行くの?」
玄関まで見送りに来てくれたお母さんが首を傾げた。
私が自転車の鍵を持っていたことに気がついたのだろう。
「うん、そろそろ帰りも寒くなって来たし、自転車の方が速いからさ」
「そっか。気をつけてね」
それっぽい理由を言ったら信じてくれた。
自転車を漕ぐと秋の冷たい風が私の髪の毛を乱暴に振り回した。でも、不思議と悪い気はしない。
今の私にとっては、どの体験も新鮮で1つ1つが楽しくて仕方がない。
「ねえ、茜。見えてる? もうあなたの体は私のものだよ」
私は自分の陰に向かって笑いかけた。
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