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「なんでそんな疲れた顔してるんだ、千歳」
学校でそんな風に声を掛けられ、んーべつにーと返す。
「ほら、勉強難しいじゃないか」
「すげー適当な言い訳しただろ、今」
稲目というクラスメイトは困ったように苦笑していた。
事実ではあったけれど、確かに本当の理由ではないことは判っていた。
「死神って見たことある?」
「は?」
意味が解らないのだろうが、その反応はいかがなものか。
「あ、この間の読み切りか?」
「漫画の話じゃなくてね」
稲目は首を傾げた。
「いや、気にしなくていいよ。ちょっと変なこと考えたから」
「そうか? その割にはいつもと違うけど」
ん?
「普段は掠れてるのに、今は随分と活力を感じるというか」
「なんだそれ。ぼく、普段そんな無気力なのか」
自覚ないのかと呆れられた。判らないのだから仕方あるまい。
そう言い返すと、稲目は笑いながら、そういきり立つなと制してきた。「何かいいことでもあったか? そういう顔してるよ、今の千歳」
そうなのかなあ。
まあ、理由はなんとなく判るんだけど。
「にやけてるぞ、お前」
「あら」
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