2話:出会い

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2話:出会い

西暦1941年12月日本 園田一花「・・ません、すみません、大丈夫ですか?どうなされたんですか?      起きれたら起きてくださいませんか?」     岡本晃司には自分に呼びかける声が聞こえたようである。     気が付くと、若く綺麗な目をした女性が、意識を     失っていた自分を呼び起こしていたのがわかった。 岡本晃司「ん。あなたは?」 一花「気が付かれましたか?大丈夫ですか?怪我(けが)などはない    ですか?」     晃司は起き上がり軽く体を動かしてみた。 晃司「ええ、気を失っていた様ですが、大丈夫の様です」 一花「心臓も鼓動が聞こえて、見たところ怪我などはしてられないよう    でしたから起こさせてもらいました」           晃司はさっきまでのことを思い出し考えを整理して、     状況の把握に努めた。     そしてこの女性は見たことある服装だったのに気付き聞いてみた。 晃司「その制服は、あなたはひょっとして防衛大の学生さんですか?」 一花「はいそうです。私も気を失っていたようで起きたら、あなたが    倒れていたので声をかけさせてもらいましたが、その制服、    あなたも防衛大の学生さんですよね?」       一花は晃司が倒れている時から人が倒れていて心配したのだが     この男性が同じ防衛大の制服を着ているのにも驚きを感じ不思議に     思って聞いてみた。      晃司「ええそうですよ。ここは校外のようですが、どうしたんでしょう。    さっき登校しようとして、寮内で妙な出来事が起きたと思うと、    気を失って今目が覚めました」 一花「私もですよ。同じように寮内でそのような出来事で気を失って、    今さっき目が覚めたとこです」     晃司はびっくりしてこの一花にもう少し状況聞いてみることにする     のである。 晃司「そうなんですか?同じような体験してるようですが、やっぱりここは    校外のようですね。寮内からいきなり目が覚めると校外ですよね、    同じですか?」 一花「同じですよ。確かにここは校外です。私も寮内で意識を失ったので、    ほんと同じ様です。    学校も見当たらないしここがどこかわからないですし、    あたりに人気が少なくあなたが倒れていたので、それ以上状況を    確認せず起こさせてもらいました」 晃司「そうでしたか。校外に出てはいけないですが、どうせ学校も見当たら    ないんじゃしかたがないですね。ちょっとあたりを回って人を探し    ましょう」     晃司と一花は移動しながら人を探した。     子供が3人いたので晃司は声をかけてみた。 晃司「ねーねー君たち、ここはどこなの?」 子供「横須賀だよ。お兄さんたち見慣れない服着てるね軍人さんみたいな    服だね?」     2人は目を合わせて、お互い疑問に思った様に顔を見合わせた。     晃司「軍人?どういうことかなあ」 一花「ねー君たちー、私たち軍人じゃないよー。近くに軍人さんって    いるの?」 子供「そりゃそうでしょう。女の軍人さんなんかいないよ。    すぐ近くかどうかはわからないけど、軍人さんは結構いるよ」          また2人は目を合わせたが、2人とも今度は違和感がはっきりと謎に     変わり顔を見合わせた。             一花「ねー、今いつ?何年何月?」   子供「昭和16年12月だよ、8日に開戦記念日があったところだけど、    お姉さん達知らないの?」       一花「うーんちょっとね。ありがと。私たち行くからじゃあまたね」     2人は信じられない顔をしていたがこれがほんとだったら     夢かともおもった。      晃司「これ夢じゃないですよね、ひょっとして僕たち現実に    タイムスリップしたのかもしれません」   一花「信じられませんがそうかもしれません。これ現実ですよね夢じゃない    ですよね」     2人はそれぞれ自分のほっぺをつねったが痛かった。        夢ではない現実である。     2人は信じられないという思いを感じながらこの事実を受け入れる     しかなかったのである。 晃司「そのようですね、こんなことってあるんですね。どこかに、    近くにも同じ境遇の人がいるかもしれません。    付近の大人も探しながらもうちょっと情報を集めてみましょう」         一花「そうですねそうしましょう」 晃司「あ、お名前等聞いてなかったですね。僕は岡本晃司と言います。    2019年12月から来ました。防衛大4年生です」 一花「私は園田一花と言います。同じですね2019年12月から来ました。    防衛大3年生です」     お互い自己紹介し合いながら同じ時代から来たことを確認し合った。     防衛大というのは学年によりまるで身分が違う様に上下関係が厳しく     下から1年生ゴミ、2年生奴隷、3年生普通の人間、4年生神様と言う     様な関係である。      晃司「そうでしたか。現役で入学したの?」     2人も決して例外ではなかったが晃司は一応高校までの学年も気に     なり聞いてみた。 一花「はいそうです。現役です」 晃司「じゃあ学年も一個下やね、俺も一応現役やから」 一花「そうでしたか、先輩でしたか」     一花は晃司が4年生と言う事を知りまるで本能的に緊張が走ったが、     緊張ばかりしていてはいけないと思いそれ以外の現状について     考えるしかなかった。      晃司「まあとにかく情報をより確証を得るまで、探索してみよ」     晃司も後輩と言うことで、こんな状況であまり緊張させては     いけないと思い、いつもより後輩に接する態度を和らげて言った。 一花「はい、どうせなら軍人を探して、聞いてみたらより確実なんじゃない    ですか?」 晃司「そやね、そうしよう」            2人は数十分ほど歩いたのち、一人の陸軍軍人を見つけた。     何かの警備にあたっている軍人のようであった。     晃司たちは確認のために声をかけてみた。      晃司「あのー、すみません」 軍人下士官「ん、なんだお前たちは見慣れない服装だな」 晃司「ああ、僕たちはちょっとした学生でして、お聞きしたいことが    あるんですが」 下士官「学生?まあいい、なんだ?」     2人は本物の大日本帝国軍人というものを見て感動と敬意の念を     覚えるのであった。      晃司「今は昭和16年12月ですよね。この前の8日に開戦記念日があったん    ですよね」 下士官「そうだ当たり前じゃないか。そんなこと聞きたかったのか?」          晃司「それでその戦況はどこを攻めてどうなったんですか?」 下士官「そんなことも知らんのか。大本営発表によると、今月8日に海軍が     ハワイ真珠湾を攻撃大勝利をおさめた。     そして同じ日、陸軍がマレー半島のコタバルとタイのパタニと     ソンクラに上陸し、占領。これも大勝利だ。それに・・」     大本営とは、大日本帝国陸海軍の最高統帥機関である。           警邏(けいら)の陸軍軍人が言う前に、より確実に確認したいため、     続きを一花が切り出した。 一花「あと海軍は10日にマレー沖で英国最新鋭戦艦プリンス・オブ・    ウェールズを魚雷7本命中、航行不能にさせて、日本時間午後    2時50分に撃沈、巡洋戦艦レパルスを、魚雷7-10本命中させて、    日本時間午後2時3分に撃沈してますよね?」   下士官「そうだ、しかしおい女、よく魚雷の数まで知っているな。     大本営発表ではそこまで言ってないぞ。     貴様らその服装軍服に似ているな、何者か知らんが詳しい話は     我々の将校を連れてきてやるからその方に聞け。     今連れてきてやるからそこで待っていろ」     警備の下士官の軍人は陣の奥まで行った。 一花「岡本先輩、すみません私がいらないことを言ったばかりに危険な    気がします。    ここから早く逃げましょう。    私たちは武器もなにももってないんですし。    逆に即拘束されず話が聞けてよかったですが」 晃司「そうかなあ、より詳しい話が聞けて現状がわかっていいと思うけど、    大丈夫と違うん」 一花「だめです、これだけ聞ければもう大体の現状はわかりました。    これは危険です、早く逃げましょう」 晃司「わかった君がそこまで言うならそうしようか、じゃ走ろう」     晃司と一花は物の影に隠れながら、走って見つからないように     遠くまで逃げた。 晃司「ふー、ここまでくればもう大丈夫やろう。ちょっとの喉が渇いたな、    どっか休憩できる場所を探して水でも飲んで、これからどうするか    考えようか」 一花「そうですね、どこか公園か何かあればいいんですが、歩きながら    探してみましょう」     晃司と一花はしばらく歩いて公園のような場所にたどり着き、     今後のこと等、どうするか話し合った。     晃司「ここでいいね、ちょうどいい場所があったね、まあ座ろうか」 一花「はい、どうやら間違いないですね。私たちここ大東亜戦争の開戦直後に    タイムスリップしてしまった様ですね。    それも先ほどの軍人にも聞いた通り、史実通りのようです」 晃司「そのようやね、この歴史、もし変わったら未来の日本のことも変わる    とかそういう世界線みたいなのはどうなってるんやろね」     既に晃司は、過去にタイムスリップした時期が開戦直後という     現実から考えて日本の未来を変えれたら、と思ってこの国を     何とか出来るのではと考えていたのである。
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