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「!?いっ……嫌っていうか……!」
異性に裸を見られたくないから——
そう口にしようとして、叶芽ははっと自分の身体に視線を落とした。
そうだ……私はもう……女じゃなかったんだ……
兼続様から見たら、男同士なのに何を恥ずかしがっているのか、と思っているのかもしれない。
それに小姓という立場であれば、主君の着替えを手伝ったり、なんなら湯浴みで背中を流すなんてこともあるのかもしれない。
ここで恥ずかしがるのは、また兼続様に気を遣わせてしまうだけ——
叶芽は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、意を決して帯紐を解こうと腰に手を添えた。
叶芽が兼続に背を向け、震えながら着物を脱ごうとしていると、ふいに兼続が口を開いた。
「着物を洗うのは、君が湯浴みを終えた後にするよ。
ゆっくりしておいで」
兼続はそう告げると、足早に湯浴み場を出て行った。
……私が恥ずかしがっていることに気付かれてしまった……?
叶芽は、また兼続に気を遣わせてしまったことに罪悪感を抱きながらも
一方で気兼ねせず服を脱げることにも安堵した。
裸になり、湯に布を浸しながら
叶芽はついつい視線を下半身に向けた。
「……はぁ……」
やっぱり……ある……。
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