episode⑥-10

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episode⑥-10

どう進めばいいのかなんて すぐに答えは出なかったけれど それでも僕はとうさまたちと共に 狩りに出かけることを やめたりはしなかった。 怖い思いもしたから 1人で飛び出す、なんてムチャは しなくなったけど…。 狩りに行かない日は チャンミン兄さまやトーマスに いろいろと教えてもらった。 「敵」に会った時の対処方法、 オンナの血をいただいた後のケア、 嗅覚や視覚の使い方…。 トーマスは最初、教えることを 少し渋っていたけれど、 僕がしつこく聞くもんだから(笑) 次第に闘い方のノウハウを 教えてくれるようになった。 「いろいろと細かく聞くところは チャンミン様に似てますね、坊ちゃまは」 「え…?そうなの??」 聞けば、チャンミン兄さまの短剣さばきは 実はトーマスから伝授されたものだと知った。 「元々器用な方ですからね。 今はもうわしなど足元にも及びませんよ」 「じゃあ…とうさまは誰から教わったの?」 「あの方には誰も教えちゃいませんよ」 トーマスは微笑んだ。 「ユノ様の強さは天性のものです。 確かにユノ様のおとうさまも強い方ですが、 ユノ様はそれ以上かと」 「すごい…」 「そんなすごい方のお子様なんですよ、 ユノヤ坊ちゃまは」 「うん…」 「だから、必ずなれますよ。 おとうさま以上のヴァンパイアにね」 「僕、頑張るよ、トーマス!!」 「その意気ですよ、坊ちゃま」 僕もとうさまのような 最強のヴァンパイアになるんだ…!! 僕は心の中で自分にそう誓った。 そんな僕に 運命の出会いが待っているとは… この時の僕はまったく知る由もなかったんだ…。
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