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episode⑦-4
「だから…ダメよ、カナ」
「どうして??」
「オンナは狩りには行かないものなの」
「それは誰が決めたの??」
「もう~…何を言い出すかと思えば…」
「いいもん!とうさまに聞いてみるから」
「とうさまもダメだって言うわ」
「どうしてよ?」
「とても危険なことなのよ。
ユノヤ兄さまの話は聞いてるでしょ?」
「そうだけど…」
ナナコは深くため息をついた。
カナが狩りに出たいと言い出したその理由は…
「こんにちは、ナナコさん」
その「理由」がやってきたわ(苦笑)
「チャンミン!!」
「こんにちは、カナ。今日は庭には
出ないんですか?」
「違うの。かあさまにさっきから
お願いしているのにダメだしか言わないんだもん」
「ん?何のお願いですか??」
「あのね、チャンミン…」
カナがその先を言おうとしたところに
ユノがやってきた。
「カナ、狩りに出たいのか?」
「え…?ユノ、どうしてそれを??」
驚くナナコに
「この部屋に入ればわかるさ」
そう言ってユノはニヤリと笑った。
「チャンミンと一緒にいたいのはわかるが、
おまえを連れていくわけにはいかないんだ」
「ええ~~~~!!!そんなぁ…」
うなだれるカナ。
どうしてこの子はこんなに
チャンミンさんのことを好きに
なってしまったのかしら…。
(まあ…わからなくもないけれど)
「カナ…そうだったんですか?」
やさしく微笑むチャンミンを前に
顔を真っ赤にしてもじもじするカナが
ナナコにはいじらしかった。
「ヒョン…こうするのはどうでしょう?」
「ん?」
「カナと一緒にミサキさんのところに
遊びに行くのは…?」
「おまえとカナが?そうだなあ…」
「えっ!?ミサキちゃんのとこ???
行きた~~~い!!」←カナ
「やだ、それなら私も行きたいわ、ユノ」←ナナコ
「おいおい、おまえまで子供みたいに…」
ふくれっ面の2人を前に
(おんなじような顔して、ったく…)
思わずユノは吹き出した。
「わかった、わかった!3人で行ってくるといい。
ナナコもせっかくだから兄さんに
会ってくるのはどうだ?」
「え…いいの??ユノ」
「ずいぶん会ってないんだろう??」
「ありがとう…」
「かあさま、兄さんって.??」
「かあさまの本当のお兄さんよ。
カナの叔父さん。あ、チャンミンさんと一緒ね」
「チャンミンはおじさんじゃないもん!!!」
「その『おじさん』とは意味が違いますよ、カナ」
おかしそうにチャンミンが笑う。
つられてユノも笑う。
ナナコは恥ずかしそうに笑う
カナの頭をなでながら、
かわいいミサキの笑顔や久々に会える兄のこと、
そして住んでいた元の世界に
いろいろな思いを寄せていた…。
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