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episode⑥-2
僕の横を通り過ぎたオンナを追うように
男が後に続く。
「いやぁぁぁ~~~!!!」
男に腕を掴まれて声をあげるオンナ。
そのオンナの顔を思いっきり殴る男。
反動で地面に倒れるオンナに馬乗りになった男が
更に手を振り上げる。
咄嗟に僕は
その男の振り上げた腕を掴んでいた。
「いててて~~!!だ、誰だてめえは」
「誰だっていいだろう」
そのままその腕を引っ張り上げる。
人間って…
力、弱いんだな(苦笑)
僕に手を引っ張られた男は
バランスを崩して
倒れているオンナの横にしりもちをつく。
「この野郎~~~!!ふざけやがって」
何か光るモノを取り出した男が
僕に飛びかかろうとするが、
なぜかその動作がすごく遅いから
簡単に避けられる。
「ちくしょ~~~!!!」
叫ぶ男の右手首を
ぐいっとひねるように掴んだら
ポキッと鈍い音が、した。
「ぎゃぁぁぁぁ~~~」
手首を押さえてのたうちまわる男。
なんだか…めんどくせぇ…
「行こう」
倒れていたオンナの手を引き
僕たちはその場を立ち去った。
公園を出て、明るい通りまで出る。
「あ、ありがとう…」
そう言ったオンナの声は震えていた。
「家まで送るよ。歩ける?」
「あ、あの…」
「ん??」
「お、お礼をさせてください…」
「お礼?いいよ、別に」
「でも…」
うるんだ瞳のオンナと目が合う。
そのまま僕はオンナの顔をじっと見つめた。
オンナの瞳が甘く光るのがわかる。
「じゃあ…」
僕はゆっくりとオンナの顔に自分の顔を近づける。
「え…??」
少しびっくりはしたようだが
オンナはゆっくりと目を閉じる。
この…タイミングかな??
僕はオンナの唇にそっとキスをした。
オンナの体からふわっと力が抜けるのがわかる。
その耳元で僕はささやいた。
「ちょっと…チクっとするよ?」
「え…何…??」
そのまま、オンナの首筋に顔をずらす。
首筋にゆっくりと牙を立てると、
思いの他するりと入っていった。
「ああん…」
うっとりとしたオンナの表情を確認しながら
僕は生まれて初めて人間のオンナから
血をいただいた。
あれ…甘い…
もっとマズいのかと思ってたよ(笑)
牙を抜くと
オンナは少しぐったりとなって
僕に寄りかかってきた。
「送っていくよ」
家は…と。
僕は気を集中させて
テレポーテーションでオンナの家の前まで行った。
家の入口にオンナをそっと座らせる。
「カゼひくなよ。おやすみ…」
お礼のキスをそっと落とすと…
『上出来だな、ユノヤ』
どこからか声が聞こえた。
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