episode⑥-4

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episode⑥-4

「おい、ちょっと待て!!ユノヤ!!!」 俺の言葉にも止まることなく かわいい息子は城を飛び出してしまった。 ユノヤに話しておかなくてはならないことが あったというのに。 このままではマズいことになる…!! ユノヤの後を追わなければ。 「ヒョン?もう出かけるんですか?」 チャンミンがちょうど城にやってきた。 「ユノヤが飛び出したんだ」 「もう?そっか…この前うまくできたから 楽しくなっちゃったんですね」 「チャンミン。そうのんきなことは 言ってられないんだ」 「?どうしたんですか??」 「俺は…あいつにまだ言ってないことがある」 「言ってないことって…まさか!?」 チャンミンが顔色を変える。 「悪いが、先に行くぞ」 「ヒョン、僕も行きます!!」 俺たちは急いでユノヤの後を追った。 とうさまたちを待っていられなくて 僕は1人で城を飛び出した。 狩りのやり方はもうわかったんだから 僕1人でもできるさ。 今夜はいろいろチャレンジしてみたいんだ。 あの世界に行くには、確か… 僕はとうさまたちがやっていたように そっと目をつぶると、意識を集中させてみる。 体がふわっと浮かぶようなこの感覚…。 この前とおんなじだ。 足が地に着いたような感覚を覚えて 僕はゆっくりと目を開ける。 僕の目の前に広がる街の光景…。 それはとても大きな街の賑やかな繁華街だった。 ?あれ… この前とうさまたちと来た街とは違うみたいだ。 確かにあの世界なんだけど…。 まあ、いいか。 街は違っても 人間はおんなじだもんな。 さて…獲物を探すとするか。 僕は神経を集中させると、繁華街へと ゆっくり歩いていった。 僕がその中に入ったところで その『入口』がゆっくりと閉じていったことには まったく気が付かなかったんだ…。 ここでユノヤの気配が途切れている。 俺たちの前に広がる鬱蒼とした深い森…。 「ヒョン…ユノヤはもしかして…?」 「ああ…間違いない」 「なんてことだ…」 チャンミンが頭を抱える。 一刻も早く ユノヤを探しださなければ。 このままでは 間違いなくユノヤは殺される…!!!
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