episode⑥-6

1/1
前へ
/53ページ
次へ

episode⑥-6

「触るなよ…!!」 僕は男の手を振り払った。 「おや…おまえ、人間じゃねえな」 「だったら…何だ」 「ヴァンパイアの掟を知らねえのか?」 「掟…??」 男の仲間が僕をぐるりと取り囲む。 何とも言いようのない…殺気。 「狩りのショバはそれぞれ縄張りが あることも知らねえのかよ」 縄張り…ああ、だからか… この前とはやっぱり違う街だったんだ。 「パパに教わらなかったのか?坊主」 「とんだダメパパだよなあ、おい」 男たちが一斉に笑い出す。 「とうさまを…バカにすんな」 「あ?」 「なんだと?」 怒りが僕の体中にみなぎるのがわかる。 僕は激しく吼えるように声をあげると 笑う男たちに向かって飛びかかっていった。 「ユノヤ…!?」 僕の脳裏に強烈な気が飛び込んできた。 何かあったんだ…!! 僕はヒョンの脳裏に向かって一気に気を送った。 「ヒョン…ユノヤが危ない…!!!」 チャンミンからの気を感じて 俺は足を早めた。 ユノヤに危機が迫っていることはわかる。 しばらく行くと、目の前に きらびやかな建物が見えてきた。 ユノヤがいるのは、おそらくここに違いない。 ユノヤ…無事でいてくれ…!!! 俺はその中に入っていった・・・。 こ…こいつら…強えぇ… 思わずむせ込むと血反吐が出た。 視界がかすむ…。 僕は男たちにボコボコにされていた。 「パパを呼べよ、坊主。じゃねえと、死んじまうぞ」 「ヴ…ヴァンパイアは…げほっ…し、死な…ない」 途端に足で頭を押さえつけられる。 「残念だなあ…俺らは人間じゃねえから とどめを刺せるんだぜ」 僕は…このまま…死ぬしかないのかな… 薄れていく意識のなかで 脳裏にとうさまの姿が浮かぶ。 だ…だめだ… とうさまを呼んでしまったら… とうさままで…殺されちゃうよ… ごめんなさい…とうさま ごめんなさい…かあさま …チャンミン兄さま… 「そんなに見くびるなよ、俺を」 え… 声がはっきりと…聞こえる… 僕の目の前に現れたのは. 「お?パパ登場かあ~??」 無言で佇むとうさまに 男の1人が近づいてとうさまの肩を掴んだ。 「ぐはぁっ!!」 途端に血しぶきをあげて倒れる男。 「汚い手で触るな」 「てめぇ~~~!!!」 「こいつのカタは俺がつける」 一分の隙もなく身構えるとうさまの殺気に 男たちが一気に緊張するのがわかる。 「上等だ、おまえから先に殺してやる!!」 「かかってこいよ…おら」 男たちがとうさまに飛びかかろうとしたその時… 「待てっ!!」 凛とした声が響きわたった…。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加