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「やったぁ!」
俺たちは全力でハイタッチした。少年の表情にも、若さに似合う笑みが戻る。
イッサクジツを倒した喜びは、数分前に明かした過去の汚点を
彼からすっかり忘れさせてくれたみたいだ。
少年は未だに興奮冷めやらぬ様子である。
いつかの俺の興奮と同等……いや、余計な事は言うまい。
「おじさん、すごいよ! まさかイッサクジツを倒しちゃうだなんて!
ほとんどの挑戦者は記憶の欠片頼みで、倒せず仕舞いなのにさ!」
「これで俺は帰れるんだろ?」
「もちろん!」
夜の間の中央に落ちていた記憶の欠片を拾い上げ、
俺たちは最終目的地へ棒と化した足を運んだ。
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