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 「これが転送ボックス……」 予想していたよりもずっと大きい。 最新の技術を結集して完成させた代物なのだろう。 「おじさん、まだダンジョンは終わりじゃないからね!」 「分かっている。一昨日に帰って、  ダンジョンに来る原因となった出来事を当てるんだろう?」 「そう! 見つけられなくて、またここに戻ってくるのは許さないよ!」 少年が快く見送ってくれると、こちらも未練なく現実世界に戻れるってもんだ。 しかし、最後の言葉は、彼の口から流暢に出てきてはいなかった。  錆び付いた重い扉を、俺は力ずくでこじ開ける。 閉め切ってしまう前に一言だけ。 「任せとけ」 扉のガラス窓越しに、少年が健気に手を振っている。 「おじさんと冒険できて、僕すっごく楽しかった!」 泣いて別れるのは好きじゃない。 けど、今日だけは自分のポリシーに反してもいいかな。 「俺もさ」 頬が優しく濡れるのを感じながら、俺の意識は少しずつ遠のいていった。
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