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30分以上にわたる激闘の末、魔物を何とか倒し、朝の欠片を手に入れた。
「やったね!」
ゲーム内の勇者は、いつもこんなに苦労していたのか。
魔物一匹倒すのに、これだけの体力を消耗するとは思わなかった。
とにかく剣の重さが尋常でない。
「欠片の中身を見てみようよ!」
すると、手の平に乗せていた朝の欠片が独りでに浮遊し、俺の額を擦り抜けた。
額が、いや脳自体が涼しい。段々と頭がはっきりしてきたぞ。
「一昨日の朝を思い出してみて!」
そうだ、一昨日の朝は……寝ていた!
俺の休日は13時から始まる。絶対的な習慣さえも忘れていた。
一社会人の日常を垣間見れなかったためか、
少年は足を投げ出して退屈そうにしている。
「つまんないなー」
「ごめんよ、昼からは心躍る一日が待っているはずさ」
「本当!? すぐにでも昼の間行こ!」
単純な少年で助かった。明後日ダンジョンのマスターのように
目をつけられれば、どうなるか分かったものではない。
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