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 昼の間と言っても、先ほどと変わらない暗闇がずっと続いている。 「昼の欠片は確か宝箱の中にあるはずだよ!」 魔物を討伐する必要がないのは、疲労の溜まった身体に嬉しい。 しかし、目の前にある宝箱は二つ。 優柔不断な俺には、この二択すら関門として立ちはだかる。 「間違った宝箱を選んだら、中にいる魔物の呪文で、  一昨昨日(さきおととい)ダンジョンに強制移動になるから慎重にね!」 一昨昨日の記憶はさらに(おぼろ)げだぞ。 難易度も跳ね上がるに違いない。ここで正解しておくのが賢明だろう。 勇者の立場で言及するのもおかしいけど、 左の宝箱の鍵穴から見覚えのある角が飛び出しているのは大丈夫?  俺の背後で慌てふためく少年の姿には、どことなく愛おしさがある。 迷いながら選んでほしかったようだが、俺の観察眼を甘く見てはいけない。 「右を選ぶとするよ」 俺は少年から鍵を貰い、右の宝箱を開けた。 案の定、こちらが正解。手に取った昼の欠片が額にすっと入り込む。 「一昨日の昼はどんな楽しいことしたの?」 そうだ、一昨日の昼は……起きていた! どうも欠片の効力が小さい。起きていることは、流石に覚えていたぞ。
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