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 俺は流石に現状を訴えずにはいられなかった。 「なぁ、記憶の欠片のありがたみがあまりないんだが……」 「困ったなぁ。もしかすると、ボスの波動のせいかも!」 「ボス?」 「うん。夜の間にはボスが潜んでいるんだ。  奴の波動が記憶の欠片に影響を及ぼしているんじゃないかな?」 躊躇している暇があるなら、剣と盾を持って向かうしかないよな。 ところが、まるで空想のような出来事の連続に、一向に手の震えが止まらない。 慣れない動きのせいで、身体が拒否反応を示しているのか。 「嫌ならリタイアもできるよ?」 俺の無様な姿を見兼ねた少年は、そう提案した。 「しねぇよ」 つい攻撃的な口調になってしまった。相手はまだ幼い子どもだって言うのに。 「あ、ごめん……つい……」 少年が、大人げない態度をとってしまった俺を咎めることはなく、 むしろ背中を押してくれた。 「ううん、頑張って! おじさんにはボスも倒せる気がするよ!」 鈍い灰色であった剣先が、 今は弱々しくも暗闇の中で自ら輝いているように感じられた。 やっぱり、まだおじさんと呼ばれるような年齢ではないけどな。
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