今後の予定

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今後の予定

 ラブホテルを出た後、俺と日菜子は近場のファミレスへと向かった。  既に空は薄暗くなっていて、結構な運動をしたこともあり空腹になっていたからだ。    店に入ると俺を見て店員が驚いたように目を見開き、数秒後「こ、個室は無いのですが.......」と恐る恐る聞いてきた。  俺としてもそれは仕方ないと考えていたので、問題ないと応えると席まで案内してくれた。  日菜子はまだふらつくようで、俺が肩を貸しながら歩いていると「羨ましい.......」だとか「女のくせに情けない」と言った羨望と嫉みの声が聞こえてきた。  前者はともかく後者には腹が立ったので見せつけるようにして日菜子の頬をなぞりながら、そいつらに聞こえるように話しかける。 「悪かった、羽目を外して無茶をして。辛くないか?」 「あ、いえ.......仗助さん。あまり、大きな声では.......」  日菜子が慌てながら顔を赤らめる。  先程のやり取りだけで、聡いものは「ふらつく女+羽目を外した」という計算式で、直前に何があったのか理解出来たようだ。  先程の悪態を着く女は悔しそうに顔をゆがめていた。  席に案内されると日菜子と向かい合うようにして座る。  その際に日菜子が「私が通路側に」と言って聞かなかった。  .......こんなとこにもレディーファースト、いや、メンズファーストが適用されるとは思わなかった。  注文を済ませると日菜子は、俺の分を含めてドリンクバーを取りに向かう。  残された俺に周囲の客からの視線が集まってくるのを感じつつ、スマホを取り出す。  時間にして19時をすぎたあたり。  以前ならばこんなの宵の口にすら入らない時間帯だが、この世界において男が19時以降に外を歩いているのはかなり稀。  何かしら理由のある人か、一癖二癖ある人間ばかりだ。  とはいえ、大衆の目がある中セクハラ行為を働くバカはいないようで、こちらの様子を伺ってはいるが声をかけてくる様子はない。  直ぐに戻ってきた日菜子からドリンクを受け取り、飲みながら料理を待つ。 「そうだ、ルインやってるよね? IDおしえてよ」 「え?」 「これからも会うんだからさ、連絡先は知らないと困るだろ?」 「は、はい!」  俺の言葉を聞いて一瞬唖然としたが、意味を理解して慌てるようにスマホを取りだした。  .......なんせ、後16回は今日の様な情事が待ってるのだ。食いつかないわけが無い。  互いの連絡先を交換した後、ちょうど料理が運ばれてきた。  大きなハンバーグとライス、コーンスープ。ついでにピザも頼んでみた。 「うん、美味しいなこれ。ファミレスって聞いてたからあまり期待してなかったけど前言撤回するわ、またきたいなココ」 「良かったです、私ここお気に入りなんですよ」 「日菜子の紹介を信じて正解だったね、また、こういうのあったらおしえてよ」 「はい!」  楽しげに食べる俺と日菜子を遠目から眺める客たち。  耳をすませば「男が常連になるかもしれない店」だとか「私、ここの常連になる」とか話し合ってるのが聞こえた。  ちらりと店員をみると嬉しそうにガッツポーズをしていた。  .......男の効果がここまであるとは思わなかった。  これで二度と顔を出さなかったらこの店が可哀想だし、定期的に利用してあげよう。  ちなみに日菜子に「失神してた間に職場への連絡しておいたから」と告げたら盛大にむせてしまい、声を上げて笑ってしまった。 「ああああああああぁぁぁ.......明日、絶対囲まれるぅ.......」 「ははは! 遅かれ早かれそうなるんだから諦めな!」  普通ならば店から注意が入りそうな程大笑いだったが、それどころか「男の人があんなに笑ってるの初めて見た」だとか「写真撮れた」「売って、1万出すわ」みたいな会話が聞こえた。  それから食事を終えて帰ろうとすると店長らしき女性がやって来て「宜しければコチラを」と店のフリーパスを手渡してきた。  つまり無料で料理を出すから、常連になってくれと言う意味だ。  俺としてもありがたい話なのでパスを受け取る際に、そっと店長さんの手に自身の手をほんの一瞬重ねて礼を言う。 「ありがとう。親切なんですね、ますます気に入りました」  すると効果てきめんで、真っ赤になりながら「またのご利用をお待ちしております」と頭を下げてくれた。  ただ、店を出た後日菜子が少しむくれていたのが可愛くて頬にキスをしたら、真っ赤になって「しょうがないですよね.......仗助さんはかっこいいですから、1人で済むとは思ってませんでしたし」と許してくれた。  ただ俺は「1人で済むとは思ってませんでした」という言葉に引っかかりを覚えたのできいてみると、なんとこの世界では一夫多妻制が許されていた事を知った。  この世界観からしてあり得るとは思っていたが、改めて言葉として聞くと驚きを隠せない。  世の中の男は経済力のある女性を複数結婚しており、その間を行ったり来たりのツバメのような生活をしてるらしい。  まぁ、子種を貰って、もし男が生まれればその女性と子供は国の保護対象となり、一生が安泰なのでギブアンドテイクのような関係だ。  ちなみに生まれた男の子は成人するまでは国が決めた教育機関に通って、成人後は生活補助金をもらって生活するのがほとんどらしい。  なので昼間見た男性のように働いている男はかなり稀なケースになるそうだ。  ともあれ、俺は複数の女性と関係を持っても怒られない.......むしろ推奨されていることを知り、今後の方針を決めようと考え始めていた。    
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